個人事業主(フリーランス)として在宅などで働く人も増えてきましたが、会社を退職後に個人事業主(フリーランス)になる場合、一定の要件を満たすと再就職手当を貰えることはご存知でしょうか?
私は、2018年に産休・育休を経て、諸々の事情で復職ができずに退職しました。
その後、フリーランスで働くことにした際に、再就職手当を60万円以上受け取ることができたので、その体験談をご紹介します。
安定した収入がまだないフリーランス初期に、まとまったお金を頂けるのはとても有難いですよね。
手続きが面倒かもしれませんが、とても良い公的な制度ですので、ぜひ有効に活用してくださいね。
個人事業主が再就職手当をもらうために必要な条件は?
再就職手当の支給要件は?
再就職手当とは、失業保険の受給中に、早期に就職が決まった場合又は事業を開始した場合に、受け取ることのできる手当です。
国からもらえるお祝い金のようなイメージですね。
再就職手当を受け取るには、以下の要件を満たす必要があります。
1.就職日の前日までの失業の認定を受けた後の基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
厚生労働省ウェブサイトより
2.1年を超えて勤務することが確実であると認められること
3.待期満了後の就職であること
4.離職理由による給付制限を受けた場合は、待期満了後1か月間については、ハローワークまたは許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介により就職したものであること
5.離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと
6.就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
7.受給資格決定(求職申し込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
8.原則、雇用保険の被保険者資格を取得する要件を満たす条件での雇用であること
個人事業主で業務委託として働いても、再就職手当はもらえる?
再就職手当の支給要件として、①再就職する or ②事業を開始する ことが必要となりますが、この ②事業を開始する の中に、個人事業主(フリーランス)として起業することも含まれます。
個人事業主(フリーランス)の場合、自ら商品を販売したり、お店をオープンしたりする以外にも、業務委託などで他社からの仕事を請け負う形で働くこともありますよね。
本サイトで紹介しているAPPENの仕事も含め、業務委託の形で仕事をする場合でも、上記に挙げた再就職手当の支給要件を満たす場合には、再就職手当を受け取ることができます!
ただし、「起業/独立するために退職した場合は、失業給付及び再就職手当を受け取ることができない」ことは大前提として知っておかなければなりません。
つまり、離職票を持ってハローワークへ失業給付の申請に行くときに、「起業する予定である」と伝えるのはNG!
「再就職しようと思っているが、場合によっては起業することも考えている」というニュアンスならばOKです。
失業給付の申請時に開業することを伝えたり、待期期間中に開業届を出してしまうと、再就職手当の支給要件から外れてしまいます。
【体験談】個人事業主として再就職手当をもらうまでの流れ
次に、個人事業主として再就職手当をもらうまでの流れをご紹介します。
私の場合は、会社都合退職ということで、待期期間は7日間のみ。
以下のとおり、再就職手当をもらうために、約2か月弱の間に合計5回ハローワークに通いました。
- 訪問1回目退職後、離職票を受け取ったらすぐにハローワークへ
- 訪問2回目待期期間を経て、雇用保険受給者 初回説明会に参加
その際に、就労相談を1度受ける
- 再就職活動+開業準備を行う
- 訪問3回目第1回失業認定
- 開業届を提出
- 訪問4回目翌日にハローワークへ開業したことを知らせる
(ここの時点で失業手当はストップ)
- 訪問5回目1か月後、再就職手当の申請
- 1週間程度で再就職手当が振り込まれる
※本来であれば、再就職手当の申請をして1ヶ月程経ったころに、ハローワークから「事業を継続しているか?」確認の電話があるようです。
しかし、私の場合は、開業届を提出して一か月後に、一か月分の稼働実績を持って再就職手当の申請をしたので、ハローワークからの確認のプロセスは省かれたようで、電話連絡は特にありませんでした。
【体験談】再就職手当をもらうために提出した個人事業主としての証明書類
個人事業主として再就職手当を申請する場合、以下の3つの書類に加えて、起業したこと+その事業を1年以上続ける見込みがあることを証明できる書類の提出が必要となります。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書
- 再就職手当支給申請書
ここでは、私が2018年に個人事業主として再就職手当を申請した際、実際にハローワークに提出した書類をご紹介します。
どういった書類が受け入れられるのかが分からなかったので、とにかく個人で働き出したことを証明できそうな書類をできるだけ多く持っていこうとしていましたw
開業届
開業届は提出必須の書類なので、コピーしたものを持参。
以下のようなことをチェックされていました。(口頭でも聞かれました)
- 開業日が待期期間後であるか?
- 働いている場所(オフィスを借りている?)
- 業務内容(前職もしくは今までの経歴と関連性があるか?)
特に、業務内容については、きちんと説明する必要があると感じましたね。
前職や今までの経歴(ハローワークに提出済みの求職申込書)と関連のある仕事なのか?という点をすごく突っ込まれました。
というのも、今まで全く経験したことのない職種でいきなり独立するのって無謀だと思われちゃうからです。
(再就職手当をもらう要件の一つは、1年以上業務を続けられることなので)
私の場合、前職は外資系の銀行で、個人事業主として提出した仕事内容は「翻訳、広告運用関連」。
①前職で英語を使用して業務をしていたこと ②副業としての翻訳経験が数年あることを挙げて、個人事業主の仕事内容との関連性を説明した結果、納得してもらえました。
ちょっと無理やりこじつけた感ありますけどね・・・笑
業務委託締結の書類
開業届提出後に、業務委託の仕事が2件決まったので、業務委託締結に関する書類も提出しました。
ここでネックになったのは、次の2点です。
- 1年以上業務が継続することを証明できるか?
2件とも特に期限の定まっていない契約でした。しかし、逆に「1年以上契約します」と書類に書いてもらうことは不可能だったし、これはもうとにかく説明するしかなかったですね。
ちなみに、書類提出時点で、1件はすでに仕事を始めていましたが、もう1件はまだ仕事が始まっていない状態でした。
- 業務委託締結書類の形式
私が請け負っていた仕事は2つとも、面接や契約などオンライン上で全てのやり取りをしていました。
ですので、業務委託が決まった際も、オンライン上で電子署名をする形で、実際手元には何一つ書類がなかったんですよね。
ハローワークには、電子署名した書類をプリントアウトして持参しました。でも、会社印などなかったので、そのあたりも説明が必要でした。
ちなみに、1つはオーストラリアの会社(APPEN)で、書類も全て英語表記だったため、業務開始日や報酬、業務内容など、主要な部分のみ付箋をつけて翻訳したものを提出しました。
そして、もう1つの会社は、 秘密保持契約(NDA) のみ交わしていて、その他の書類はありませんでした・・・
そのため、やり取りをしていた人事のかたにお願いして、業務委託契約の内容を書いたメールを送ってもらい、そのメールをプリントアウトしたものを提出。
(会社代表者の名前も記載がなかったので、ハローワークの職員には「微妙・・・」と言われつつ、一応提出しました。。。汗)
実際に発生した報酬を証明する書類
ほぼ毎日、金額はとても少ないながらも報酬が発生していて、それをシステム上で確認することができたので、ウェブサイトのスクリーンショットを印刷して提出しました。
提出を求められたわけではないのですが、「実際に業務を開始していて、報酬が発生していることを証明するため」に、提出したものです。
月額で契約していたコワーキングスペースの領収書
当初、コワーキングスペースで主に仕事をしていたので、コワーキングスペースの月額料金の領収書とそのコワーキングスペースのパンプレットを提出しました。
こちらは、結果的にあまり意味がないようでしたが、外で働いているという証明にはなるかなと思います。(書類として弱いですけど、ないよりはマシかなと)
提出時に、ハローワークの職員の方は「事務所(オフィス)として認められるのは、大体家賃10万以上からかな~」と仰っていました。
でも、個人事業主で最初から家賃10万のオフィスって現実的ではない・・・ですよね。。。
再就職手当を確実にもらうために行ったこと
個人事業主として再就職手当を申請する際に必要な書類は、厳密に〇〇と〇〇!といった形で決められているわけではありません。
結局、最後は、ハローワークの職員が判断することになります。
私は、「どんな書類を持っていけば再就職手当がもらえるのか?自分が用意できそうな書類は受け入れ可能か?」を、とにかく何度もハローワークの複数の職員に聞いていました!
こちらの質問の仕方や答える人によって、微妙に解答が変わることがあったので、確認のためにもしつこく聞いていました。(おいっ!)
実際は書類提出後にハローワーク側で審査するので、事前にいくら聞いても100% OKとは言ってもらえないと思います。
しかし、複数の職員に聞くことで、新たな情報をもらえる可能性もあるので、やっぱり必要書類については何度も聞いてみて良かったなと感じました。
まとめ:個人事業主でも要件を満たして再就職手当を受け取ろう!
離職後に個人事業主として開業した場合に、再就職手当が受け取れるか否か?そして、実際に私が再就職手当を受け取った流れや必要な書類についてご紹介しました。
個人事業主として仕事を始める場合でも、支給要件を満たせば、再就職手当を受け取ることができます。
走り始めたばかりの個人事業主にとって、再就職手当は、心に余裕を与えてくれる嬉しい制度。
書類を揃えるのは大変かもしれませんが、諦めずに、ぜひ制度を活用してくださいね!